洪水災害から命を守ろう!さらに便利になった「洪水キキクル」活用法

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大雨の日に、スマートフォンを使って「洪水キキクル」で危険度を確認している男性

Point
「洪水キキクル」なら、洪水の危険度をスマートフォンなどでリアルタイムに確認することができます。

初夏から秋にかけては、大雨や暴風、高潮などによる災害が起こりやすい季節です。特に近年は1時間の降水量が50mmを超える大雨で河川が急激に増水・氾濫して、洪水災害が発生するケースが増えています。洪水災害から命を守るには、周囲が危険な状態になる前に早めの避難をすることが大切です。そこで、気象庁では洪水災害の危険度をスマートフォンなどでリアルタイムに確認できる「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」をホームページで公開しています。災害発生の危険を察知し、安全なうちに避難するために、「洪水キキクル」の情報をお役立てください。プッシュ型通知サービスも始まりました。

1ますます高まる洪水災害のリスク

近年、日本では毎年のように大規模な水害が発生しています。平成23年(2011年)から令和2年(2020年)までの10年間で水害が発生した市町村は全市町村の97%にも及んでおり、水害のリスクは高まっています。その理由の一つが、雨の降り方の変化です。
平成25年(2013年)から令和4年(2022年)までの全国の1時間降水量50mm以上の大雨の平均年間発生回数は約328回と、昭和51年(1976年)から昭和60年(1985年)までの平均年間発生回数約226回と比べて約1.5倍に増加しています。短期間に大量の雨水が河川に流れ込むことによって急激な増水や氾濫の危険度が高まり、水害の頻発につながっています。
例えば、令和2年7月には西日本から東日本の広範囲にわたり長期間の大雨が発生し(令和2年7月豪雨)、同月上旬の1時間降水量50mm以上の大雨の発生回数が、昭和57年(1982年)以降で最多を記録しました。特に被害の大きかった九州地方では、球磨川や筑後川といった大河川だけでなく支流の中小河川でも氾濫が相次ぎ、人的被害・物的被害が多数発生するなど、大きな被害をもたらしました。
地球温暖化に伴う気候変動の影響により、豪雨の発生頻度や降水量は今後さらに増えるとみられており、洪水災害などの大規模な水害の増加が懸念されています。

洪水災害が起きる前と後の河川の流域の様子。川の増水により川から水があふれ、広範囲にわたり浸水が発生している。

2洪水災害が起こりそうなとき、どのタイミングで避難すればよいのか?

水害から自分自身や大切な人の命を守るためには、周囲がまだ安全なうちに早めに避難することが不可欠です。気象庁では皆さんが早めに避難などの防災行動をとることができるよう、様々な「防災気象情報」を発表しています。時間を追って段階的に発表される「早期注意情報」や「注意報」、「警報」などの防災気象情報をこまめにチェックし、早め早めの避難を心がけましょう。
ただし、想定されるよりも短時間に大量の雨が降った場合は河川が急激に増水し、洪水災害の危険度が高まるおそれがあります。特に中小河川は、上流域に降った雨が河川に集まるまでの時間が短く、短時間のうちに急激な水位上昇が起こりやすいため、周辺に住む皆さんは逃げ遅れることがないよう河川の状況に十分注意する必要があります。
そこで活用したいのが、気象庁がホームページで提供している「洪水キキクル」の情報です。
「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」は、大雨による中小河川での洪水災害発生の危険度の高まりを5段階に色分けして地図上に示したものです。インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも、ご自身のスマートフォンやパソコンを使ってアクセスでき、色分けされた地図を見るだけで「どの場所で、どのくらい災害の危険度が高まっているか」を知ることができます。危険度の情報は10分ごとに更新され、最大3時間先までを予測した危険度を確認できます。

「洪水キキクル」における危険度。警戒レベルが高くなるにつれて、黄色・注意、赤・警戒、紫・危険、黒・災害切迫と色が変化していく。それぞれ、赤の警戒は警戒レベル3相当で高齢者等避難、紫の危険は警戒レベル4相当で避難指示、黒の災害切迫は警戒レベル5相当で緊急安全確保といった各避難情報発令判断の目安。

出典:気象庁

「災害切迫」を意味する黒が表示されると、重大な洪水が既に発生している可能性が高く、命の危険が迫っている状況です。「災害切迫」を示す黒が表示されるのを待つことなく、高齢者や幼いこどものいる家庭では遅くとも「警戒」を示す赤が表示された段階で、その他のかたも遅くとも「危険」を示す紫が表示された段階で、自らの判断で早めの避難をしましょう。

関連記事:政府広報オンライン「「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう」

3キキクルとは?

「キキクル」は、大雨や洪水による災害の危険が、どこで、どのレベルで迫っているかを、地図上で視覚的に知ることができる情報で、気象庁のホームページで公開されています。
テレビやラジオなどの気象情報で注意報や警報が発表されるなど、大雨による災害が発生するおそれのあるときや、急に激しい雨が降ったときは、このページにアクセスし、最新の情報を入手しましょう。大雨による土砂災害の危険度は「土砂キキクル」、短時間の強雨による浸水害の危険度は「浸水キキクル」、河川の洪水災害の危険度は「洪水キキクル」で、確認することができます。

土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)浸水キキクル(大雨警報(浸水害)の危険度分布)洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)

出典:気象庁

「キキクル」は気象庁ホームページ「キキクル(危険度分布)」からご覧いただけます。

また、令和5年(2023年)2月から、「洪水キキクル」は中小河川と大河川の危険度を一目で把握できるように改良されて、更に便利になりました。地域のより詳細な洪水災害の危険度をワンストップで確認できるようになった「洪水キキクル」を、ぜひ適切な避難の判断・行動にお役立てください。

4危険度が高まったらすぐにお知らせ!「洪水キキクル」のプッシュ型通知サービスに登録を

「キキクル」の危険度情報は10分ごとに更新されます。大雨が降って土砂災害や浸水害、洪水災害の危険度が高まっているときは、キキクルの情報をこまめに確認しましょう。気象庁では、より確実かつ迅速に更新情報を皆さんにお届けするために民間事業者と連携して、あらかじめ登録しておいた地域で土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度が高まった場合や警報などが発表された場合にスマートフォンなどに自動で通知する、プッシュ型通知サービスを提供しています。
通知を受け取ることで、危険度が高まっていることをいち早く知ることができ、適切なタイミングで避難することができます。また、離れた場所にいる家族などに避難を呼びかけることもできます。何も起きていない平時からプッシュ型通知サービスを登録しておき、いざというときの避難や防災行動の判断に活用しましょう。
「キキクル」の通知サービスは、次の5事業者が提供しています。事業者を選び、リンク先のサイトからアプリをダウンロードし、地域を登録すれば、無料で利用できます。詳しいサービスの概要や利用方法などはそれぞれのリンク先をご参照ください。

「キキクル」の通知サービスの仕組み。気象庁と連携した民間事業者からスマートフォンなどにプッシュ型で通知がくる。

<「キキクル」の通知サービスを提供する5事業者>

ヤフー株式会社

日本気象株式会社

アールシーソリューション株式会社

ゲヒルン株式会社

株式会社島津ビジネスシステムズ

関連動画:政府広報オンライン「家族の命を守るために『逃げなきゃコール』を活用しよう!」

気象庁ホームページでも、プッシュ型通知サービスを紹介しています。

5いざというときに備えて

洪水災害などが迫ってきたときに、迅速に避難するためには事前の備えが大切です。いざというときに、どのようなルートでどこに避難をするか想定をしておきましょう。

ハザードマップを確認しておく

ハザードマップには、土砂災害によって命が脅かされる危険性が認められる区域や、河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域、指定緊急避難場所などが掲載されています。さらに、大雨が降ると冠水し車両が水没するおそれのある箇所や、土砂崩れや落石の危険のため通行規制が行われる箇所も掲載されており、それらを参考に、いざというときに、どの道を通って、どこに避難すれば安全なのか決めておくとよいでしょう。
ハザードマップは、各自治体のホームページや国土交通省のハザードマップポータルサイトで閲覧できます。ハザードマップポータルサイトでは、ある地点の自然災害リスクを住所検索や地図で選ぶことで簡単に調べられます。また、各自治体の窓口では、紙のハザードマップも配布されています。また、土砂災害によって命が脅かされる危険性が認められる区域や、河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域は、それぞれ土砂キキクル、洪水キキクルに重ね合わせて表示することも可能ですので、ぜひご活用ください。

国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」

ハザードマップを家族で確認

避難行動判定フローを確認しておく

学校や公民館といった指定緊急避難場所への移動だけが避難というわけではありません。住んでいる地域やそのときの状況、人によって方法は異なります。「避難行動判定フロー」では、災害時にとるべき避難行動をフローチャート形式で選択できます。災害に備え、事前準備や災害時の対応について確認してみましょう。
「自らの命は自らが守る」意識を一人ひとりが持つことが重要です。

避難行動判定フローのポスター
出典:内閣府防災「避難行動判定フロー」[PDF:1.07MB]

まとめ

近年、雨の降り方の変化などにより、洪水災害などのリスクはますます高まっています。「キキクル」を活用すれば、洪水災害などの危険度をリアルタイムで確認することができます。大雨が降ったときは、こまめにチェックし、安全なうちに避難するようにしましょう。

(取材協力:気象庁 文責:政府広報オンライン)

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