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平成30年6月14日

売春や労働などを強要される「人身取引」
被害者に助けを求められたら
最寄りの警察などへ

「人身取引」とは、犯罪組織などによって、暴力、脅迫、誘拐、詐欺などの手段を用いて場所を移動させられたり、支配下に置かれたりして、売春や風俗店勤務、労働などを強要される犯罪であり、重大な人権侵害です。私たちの周りにも、人身取引で苦しんでいる人がいます。被害者が助けを求めてきたり、被害者らしい人がいたりしたら、最寄りの警察署や入国管理局(被害者が外国人の場合)に連絡してください。

1.「人身取引」とは

犯罪組織や悪質なブローカーが、女性や子どもを始めとした弱い立場にある人を、暴力や脅迫、誘拐、詐欺などの手段によって支配下に置いたり、引き渡したりして、売春や強制労働などの目的で搾取する「人身取引」。「トラフィッキング(Trafficking)」ともいわれる国際的な犯罪です。

人身取引とはどのようなものでしょうか。被害者の多くは社会的・経済的に弱い立場にある女性や子どもたちですが、売春などの性的な搾取だけではなく、男性も被害者となり得る労働搾取や、臓器の摘出などを目的とする場合もあります。こうした目的の下、被害者を売買することに限らず、被害者に暴力を振るったり、脅したり、だましたり、弱い立場にあることにつけ込んだりするなどの手段を用いて、被害者を支配下に置いたり、引き渡したりすることなどが「人身取引」とされています。
また、暴力、脅迫、詐欺等の手段が用いられた場合には、たとえ被害者が性的搾取や労働搾取されること、臓器を摘出されることに同意していたとしても、「人身取引」に該当します。
さらに、18歳未満の児童の場合は、性的搾取、労働搾取、臓器摘出の目的で支配下に置いたり、引き渡したりすれば、金銭授受や暴力、脅迫、詐欺などの手段が用いられない場合でも、「人身取引」とみなされます。これらの行為は、刑法の略取・誘拐罪や人身売買罪、児童福祉法違反の罪などの犯罪に該当することとなります。

人身取引を根絶し、被害者を救うためには、国民一人ひとりが、まずその事実をよく認識する必要があります。

2.ますます手口が巧妙化する人身取引

我が国においても人身取引事犯は発生しており、日本人女性が被害者となっているケースもあります。以下は、我が国において検挙された事例の一部です。

○事例1
援助交際などをしていた日本人女性が、覚せい剤等で薬漬けにされた上で、その代金支払いなどを口実に、携帯電話や財布を取り上げられ加害者の監視下に置かれて売春を強要され、売春の報酬を全額取り上げられた。

○事例2
「日本のマッサージ店で働かないか」と誘われ来日したタイ人女性が、一切事前の説明がなかった借金を負わされ、客への性的マッサージを強要されて給料から借金分を差し引かれた上、帰国の要望を拒否されたり、外出を制限されたりするなどされた。

○事例3
「日本の工場で働かないか」と誘われて来日したフィリピン人女性が、ブローカーにより日本人男性に結婚相手などとして売り渡された。

○事例4
ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレンの支援(日本人の父親による子供の認知、親子とも日本で暮らせるよう在留資格の取得等)を口実に入国させられたフィリピン人母子が、不自由な生活を強いられたうえ、低賃金でホステス等として働かされた。

○事例5
スカウトマンらによってマンションに住まわされた児童等が、インターネットを通じて募集した遊客との売春を強要され、逃げ出しても電話で「親にばらす」などと脅され、戻されるなどされたほか、売春代金全額を搾取された。

近年は、被害者に人身取引の被害に遭っていることを自覚させないような方法で管理・支配するなど、人身取引の手口がより巧妙になり、被害が表面化しにくくなっています。私たちの身の回りに、被害を受けていることを自覚していない、または被害を訴えることができないでいる被害者がいるかもしれません。

人身取引事犯の被害者数の推移

人身取引事犯の検挙件数、検挙人員の推移

出典:人身取引対策に関する取組について(年次報告)
(平成30年5月18日人身取引対策推進会議決定)

3.気になることがあれば、最寄りの警察署や入国管理局へ

我が国における人身取引被害者の多くは、売春等による性的搾取を受けています。人身取引と児童買春は、国内であっても海外であっても処罰の対象となります。

私たち国民の関心の低さが、この卑劣な犯罪を容易にしているともいわれています。皆さんの周りに、次のような人たちはいませんか。

  • 借金を理由に性的な労働をさせられている
  • 外国人でパスポートを取り上げられて働かされている
  • 極端な低賃金(最低賃金未満)で労働を強いられている

人身取引をなくすため、皆さん一人ひとりが、自分の周りに、自由を奪われて売春や風俗店勤務などを強要されている女性や、強制的な労働をさせられている人などがいないか、気にかけてください。
警察庁では、国内の人身取引の被害者に向け、多国語で記されたリーフレットを作成し、被害者の目に触れやすい場所で配布しています。
人身取引の被害者が助けを求めてきたり、被害者らしい人の噂話などを聞いたりしたら、最寄りの警察署や入国管理局に連絡してください。

警察庁では、「匿名通報ダイヤル(0120-924-839 http://www.tokumei24.jp)」でも人身取引に関する情報を受け付けています。事件解決時には情報提供者に最大10万円の情報料が支給されます。

<人身取引に関する情報提供・相談窓口>

【都道府県警察】

緊急通報(電話):110
警察相談窓口(電話):♯9110

【匿名通報】(警察庁)

電話:0120-924-839
ウェブサイト:http://www.tokumei24.jp/

【入国管理局】

・外国人在留総合インフォメーションセンター ※外国語対応  電話: 0570-013904 (IP,PHS,海外:03-5796-7112)
・地方入国管理局 一覧:http://www.immi-moj.go.jp/soshiki/index.html

【人権相談】(法務省)

・みんなの人権110番  電話: 0570-003-110
・外国人のための人権相談所※外国語対応  電話:全国50か所の全法務局・地方法務局 一覧:http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html
・外国語人権相談ダイヤル※外国語対応  電話:0570-090911

<その他の関連する窓口等>

【女性の人権問題】

・女性の人権ホットライン(法務省) 電話:0570-070-810
・婦人相談所(厚生労働省) 一覧[PDF]:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000162969.pdf

【子どもの人権問題】

・子どもの人権110番(法務省) 電話: 0120-007-110
・児童相談所(厚生労働省) 一覧:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv30/zisouichiran.html

【技能実習生等に係る労働問題】

・総合労働相談コーナー(厚生労働省) 一覧:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
・外国人労働者相談コーナー、外国人労働者向け相談ダイヤル(厚生労働省)※外国語対応 一覧:http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner.html

【その他】

・外国語インターネット人権相談受付窓口(法務省)※外国語対応 URL:http://www.jinken.go.jp/
・多言語情報提供サービス(法テラス) ※外国語対応 電話:0570-078377
・よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター) ※外国語対応 電話: 0120-279-338

4.人身取引の被害者を保護する仕組み

人身取引の被害者は多くの場合、犯罪組織やブローカーから暴力や脅迫を受け、心身ともに大きなダメージを受けています。そのため、自ら逃げようとする気力を失っていることもあります。また、家族に危害が及ぶことを恐れて、助けを求めることをためらう人もいます。
そこで、政府では、人身取引の被害者を婦人相談所などで保護し、外国人の場合は、在留特別許可を与えるなど法的地位の安定を図った上で、帰国後まで支援するなどの取組を行っています。
もし、あなたの身近に被害者がいたら、安心して保護を求めるよう教えてあげてください。

人身取引の被害者が、加害者に対して損害賠償請求を行う場合、「収入等が一定額以下である国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者」などの要件を満たすときには、日本司法支援センター(法テラス)の「民事法律扶助」を利用し、無料で法律相談を受けられたり、弁護士・司法書士の費用などを立て替えてもらえたりすることができます。
また、被害者が被害者参加人として刑事裁判に参加するに当たっては、資力要件を満たす場合に、裁判所が選定し、国が費用を負担する「国選被害者参加弁護士」の選定を日本司法支援センター(法テラス)に請求することもできます。

5.政府における人身取引根絶に向けた対策

人身取引の防止・撲滅、被害者の保護のため、政府は、平成16年に「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置したほか、同年に「人身取引対策行動計画」を、平成21年にはそれを改定した「人身取引対策行動計画2009」を取りまとめ、着実に取組を進めてきました。
行動計画の策定以降、刑法が改正されて人身売買罪等が新設されたほか、出入国管理及び難民認定法も改正され、人身取引などの被害者が、資格外活動・売春関係の退去強制事由から除外されるとともに上陸特別許可・在留特別許可の対象とされ、また、人身取引の加害者が上陸拒否事由・退去強制事由に追加されるなどの取組が進みました。

人身取引対策推進会議(平成30年5月、第4回会合)
(撮影:内閣官房)

平成26年12月には「人身取引対策行動計画2014」[PDF]が 策定され、さらに、「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」に代わり、新たに関係閣僚から成る「人身取引対策推進会議」が随時開催されています。こうした枠組みの下、政府は一体となって、「人身取引対策行動計画2014」に基づく取組を進め、一日も早い人身取引の根絶を目指しています。

なお、我が国における人身取引の状況や関係機関の取組についてまとめた「人身取引対策に関する取組について(年次報告)」[PDF]が作成されています。

6.社会全体で人身取引の根絶を

人身取引は重大な人権侵害であり、かつ、深刻な国際問題でもあります。さらに、人身取引が被害者にもたらす精神的・肉体的な苦痛は計り知れないものです。政府においては、その根絶に向けた様々な取組を進めていますが、人身取引は非常に潜在性が強く、今も、すべての被害者を政府が認知しているとは言えません。
そこで、被害者を救い、この重大な人権侵害を一日も早く根絶するためには、私たち一人ひとりが人身取引について関心を持ち、社会全体の問題として受け止め、進んで対応をとる必要があります。皆で力を合わせて、人身取引と戦いましょう。

<取材協力:警察庁 文責:政府広報オンライン>

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