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「人身取引」は日本でも発生しています。
あなたの周りで被害を受けている人はいませんか?

令和5年(2023年)9月29日

「人身取引」のイメージ。不本意な借金を負わせ、性的サービスを強要する事例及び暴言を浴びせ、労働を強いる事例

「人身取引(性的サービスや労働の強要等)」とは、暴力、脅迫、誘拐、詐欺などの手段を用いて、支配下に置かれたり、引き渡されたりして、売春や性的サービス、労働などを強要される犯罪であり、重大な人権侵害です。私たちの周りにも、人身取引で苦しんでいる人がいます。被害者らしい人を見聞きしたり、被害者が助けを求めてきたりしたら、最寄りの警察署や地方出入国在留管理局(被害者が外国人の場合)に連絡してください。

1「人身取引(性的サービスや労働の強要等)」とは

人身取引とは、女性やこどもを始めとした弱い立場にある人を、暴力や脅迫、誘拐、詐欺などの手段によって支配下に置いたり、引き渡したりして、売春や性的サービス、労働の強要などにより搾取する、「トラフィッキング(Trafficking)」とも呼ばれている犯罪です。

人身取引は具体的にどのようなものでしょうか。

被害者の多くは社会的・経済的に弱い立場にある女性やこどもたちですが、男性も被害者となり得ます。売春や性的サービスの強要などによる性的な搾取だけではなく、労働搾取や、臓器の摘出を目的とする場合もあります。こうした目的の下、被害者を売買することに限らず、被害者に暴力を振るったり、脅したり、だましたり、弱い立場にあることにつけ込んだりするなどの手段を用いて、被害者を支配下に置いたり、引き渡したりすることなどが「人身取引」とされています。

また、暴力、脅迫、詐欺などの手段が用いられた場合には、たとえ被害者が性的搾取や労働搾取されること、臓器を摘出されることに同意していたとしても、「人身取引」に該当します。

さらに、18歳未満の児童の場合は、性的搾取、労働搾取、臓器摘出の目的で支配下に置いたり、引き渡したりすれば、金銭の授受や暴力、脅迫、詐欺などの手段が用いられない場合でも、「人身取引」とみなされます。これらの行為は、刑法の略取・誘拐罪や人身売買罪、児童福祉法違反の罪などの犯罪に該当することとなります。

実際に我が国においても、令和4年(2022年)には人身取引事犯の被害者として46人が保護されており、例えばこれまで以下のような事案が人身取引事犯として検挙されています。

事例1

被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った被害女性に対し、売春させることにより対償を得ようと考え、同女に暴行や脅迫を加えた上、不特定の男性を相手に売春させた。

事例2

被疑者らは、短期滞在の在留資格で入国させたフィリピン人女性4名を同人らが経営する社交飲食店に雇い入れた後、渡航費用名目で借金を負わせる、旅券を取り上げるなどして監視下に置き、不法残留させたままホステスとして稼働させていた。

「日本で働けばもうかる」と甘い言葉で外国人女性を来日させ、ホステスとして稼働させ、その代金を搾取する事例

事例3

被疑者は、実習実施者として受け入れていた複数の技能実習生に対して暴力を振るい暴言を浴びせ、技能実習生のぜい弱な立場に乗じて違法な時間外労働を行わせるなどした。

なお、技能実習生に関する人身取引は、以下のリーフレットも参照してください。

厚生労働省リーフレット「技能実習生に対するその行為は人身取引です」

人身取引を根絶し、被害者を救うためには、国民一人ひとりが、まずその事実をよく認識する必要があります。

2気になることがあれば、最寄りの警察署や地方出入国在留管理局へ

警察官に借金を理由に無理やり働かされている人がいると話をする女性。

我が国において発生した人身取引の事例を見ると、売春などによる性的搾取を受けている事例が多く見られますが、労働搾取を受けている事例も見られます。
近年は、被害者に人身取引の被害に遭っていることを自覚させないような方法で管理・支配するなど、人身取引の手口がより巧妙になり、被害が表面化しにくくなっています。
私たちの身の回りに、被害を受けていることを自覚していない、又は被害を訴えることができないでいる被害者がいるかもしれません。

皆さんの周りに、次のような人たちがいないか、気にかけてください。

  • 借金を理由にしたり、暴行・脅迫を受けたりして売春や性的サービスなどを強要されている。
  • 児童が売春をさせられている。
  • 売春などで得た現金などを他人に渡している。
  • 外国人がパスポートを取り上げられたり、外出を制限されたりして働かされている。
  • 極端な低賃金(最低賃金未満)で労働を強いられている。
  • 暴行や脅迫を受けたり、目の前で物を破壊されるなど威圧されたりして労働を強いられている。

上記のような人身取引の被害者と思われる人の情報などを見聞きしたり、被害者から助けを求められたりしたら、最寄りの警察署や地方出入国在留管理局に連絡してください。
警察庁では、「匿名通報ダイヤル(0120-924-839) 」でも人身取引に関する情報を受け付けています。通報された情報が事件の解決などに役立った場合には情報提供者に情報料が支給されます。

また、警察庁では、潜在的な人身取引被害者の発見を目的として、警察等に被害申告するように多言語で呼び掛けるリーフレットを作成しています。これらを関係省庁、在京大使館、NGOなどに配布し、被害者の目に触れやすい場所に備え付けるとともに、ウェブサイトにも掲載しています。

警察庁による人身取引事犯の被害者向け多言語リーフレット

警察庁ウェブサイト「このリーフレットを受け取った方へ」にて、言語別のリーフレットがご覧になれます。

人身取引に関する情報提供・相談窓口

出入国在留管理庁

(IP、PHS、海外:03-5796-7112)

人権相談

その他の関連する窓口

女性の人権問題

こどもの人権問題

性犯罪・性暴力被害の相談

その他

3人身取引の被害者を保護する仕組み

人身取引の被害者は多くの場合、犯罪組織やブローカーから暴力や脅迫を受け、心身ともに大きなダメージを受けています。そのため、自ら逃げようとする気力を失っていることもあります。また、家族に危害が及ぶことを恐れて、助けを求めることをためらう人もいます。
そこで、政府では、人身取引の被害者を婦人相談所などで保護し、外国人の場合は、在留特別許可を与えるなど法的地位の安定を図った上で、帰国後まで支援するなどの取組を行っています。
もし、あなたの身近に被害者がいたら、安心して保護を求めるよう教えてあげてください。

人身取引被害者保護の流れ。関係行政機関による被害者の認知が行われ、関係行政機関などにおける保護・援助などが実施される。うち帰国を希望する外国人人身取引被害者については、IOM(国際移住機関)を通じて帰国支援・社会復帰支援が行われる。

人身取引の被害者が、加害者に対して損害賠償請求を行う場合、収入などが一定基準以下である「国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者」などの要件を満たすときには、日本司法支援センター(法テラス)の「民事法律扶助」を利用し、無料で法律相談を受けられたり、弁護士・司法書士の費用などを立て替えてもらえたりすることができます。また、被害者が被害者参加人として刑事裁判に参加するに当たっては、資力要件を満たす場合に、国が費用を負担する「国選被害者参加弁護士」の選定を日本司法支援センター(法テラス)を通じて裁判所に請求することもできます。

4政府における人身取引根絶に向けた対策など

(1)人身取引の実態

前述のように、我が国においても人身取引事犯は発生しており、日本人・外国人を問わず被害者となっています。人身取引事犯の被害者数、検挙件数及び検挙人員は次のグラフのとおりです。

人身取引事犯の被害者数の推移
人身取引事犯の被害者数の推移を示すグラフ。令和4年(2022年)の被害者は46人で、うち日本人は44人。

資料:内閣官房「人身取引(性的サービスや労働の強要等)対策に関する取組について(年次報告)(令和5年6月30日人身取引対策推進会議決定)」から政府広報室作成

人身取引事犯の検挙件数、検挙人員の推移
人身取引事犯の検挙件数、検挙人員の推移を示すグラフ。令和4年(2022年)の検挙件数は83件、検挙人員は37人。

資料:内閣官房「人身取引(性的サービスや労働の強要等)対策に関する取組について(年次報告)(令和5年6月30日人身取引対策推進会議決定)」から政府広報室作成

(2)政府における人身取引根絶に向けた対策

人身取引の防止・撲滅、被害者の保護のため、政府は、平成16年(2004年)に「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置したほか、同年に「人身取引対策行動計画」を取りまとめました。その後、平成21年(2009年)には「人身取引対策行動計画2009」、平成26年(2014年)には「人身取引対策行動計画2014」をそれぞれ取りまとめ、着実に取組を進めてきました。
行動計画の策定以降、刑法が改正されて人身売買罪などが新設されたほか、出入国管理及び難民認定法も改正され、人身取引などの被害者が、資格外活動・売春関係の退去強制事由から除外されるとともに上陸特別許可・在留特別許可の対象とされ、また、人身取引の加害者が上陸拒否事由・退去強制事由に追加されるなどの取組が進みました。さらに、平成29年(2017年)には、国際組織犯罪防止条約及びこれを補足する人身取引議定書を締結しました。

犯罪対策閣僚会議で会議のまとめを行う岸田総理
犯罪対策閣僚会議(令和4年(2022年)12月)
出典:首相官邸ホームページ

令和4年(2022年)12月には人身取引対策の充実強化を図るため、犯罪対策閣僚会議において「人身取引対策行動計画2022」[PDF:417 KB]が決定されたところであり、政府においては、関係閣僚からなる人身取引対策推進会議を随時開催しながら、一体となって当該計画に基づく取組を進め、一日も早い人身取引の根絶を目指しています。
なお、我が国における人身取引の状況や関係機関の取組についてまとめた「人身取引(性的サービスや労働の強要等)対策に関する取組について(年次報告)」[PDF:10.9 MB]が作成されています。

我が国における人身取引対策の体制。犯罪対策閣僚会議の下に、人身取引対策推進会議が置かれる。推進会議は、内閣官房長官を議長とし、内閣府特命担当大臣(こども政策少子化対策若者活躍男女共同参画)、国家公安委員会委員長、法務大臣、外務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣を構成員とする。
出典:内閣官房「人身取引(性的サービスや労働の強要等)対策に関する取組について
(年次報告)(令和5年6月30日人身取引対策推進会議決定)」

5社会全体で人身取引の根絶を

人身取引は重大な人権侵害であり、かつ、深刻な国際問題でもあります。さらに、人身取引が被害者にもたらす精神的・肉体的な苦痛は計り知れないものです。政府においては、その根絶に向けた様々な取組を進めていますが、人身取引は非常に潜在性が強く、今も、すべての被害者を政府が認知しているとはいえません。
そこで、被害者を救い、この重大な人権侵害を一日も早く根絶するためには、私たち一人ひとりが人身取引について関心を持ち、社会全体の問題として受け止め、進んで対応をとる必要があります。皆で力を合わせて、人身取引と戦いましょう。

内閣府「人身取引対策ポスター(需要者向け)」
内閣府「人身取引対策ポスター(被害者向け)」

(取材協力:内閣官房 文責:政府広報オンライン)

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